Office DX
電子帳簿保存法

電子帳簿保存法でタイムスタンプは本当に必要?不要にできる条件をやさしく解説【2026年版】

この記事でわかること:電子帳簿保存法(電帳法)で「タイムスタンプは必ず付けないといけないの?」という疑問に答えます。実は、スキャナ保存でも電子取引でも、条件を満たせばタイムスタンプなしで対応できます。追加コストをかけずに対応する方法と、タイムスタンプの有無にかかわらず必要になる「検索要件」への備えを、中小企業・会計事務所向けにやさしく整理します。

本記事は一般的な解説です。制度の詳細や最新の取り扱いは、国税庁の「電子帳簿保存法一問一答(取扱通達)」や顧問税理士にご確認ください。

結論:タイムスタンプは「必須」ではありません

「電子帳簿保存法に対応するには、有料のタイムスタンプサービスを契約しないといけない」——そう思っている方は少なくありません。しかし、これは正確ではありません。

2022年1月施行の改正で要件が大きく緩和され、タイムスタンプは対応方法の「選択肢の一つ」という位置づけになりました。条件を満たせば、タイムスタンプを付けずに電帳法へ対応できます。

電帳法の保存対象は大きく「スキャナ保存(紙をスキャンして電子保存)」と「電子取引(メール添付PDF等をそのまま電子保存)」に分かれます。それぞれで、タイムスタンプを不要にできる条件を見ていきましょう。

スキャナ保存でタイムスタンプを不要にする条件

紙の請求書や領収書をスキャンして保存する「スキャナ保存」では、次のいずれかを満たせばタイムスタンプが不要になります。

タイムスタンプに代えられる条件

  1. 訂正・削除の履歴が残る(または訂正・削除ができない)システムで保存する
  2. その保存を、入力期間内に行ったことを確認できること

→ 誰がいつ保存・修正したかがシステム側で自動的に記録される仕組みであれば、タイムスタンプの代わりになります。

身近な例としては、バージョン履歴や操作ログが自動で残るクラウドストレージ・文書管理サービスが該当します。ファイルを差し替えたり削除したりした記録が残るため、「後から改ざんしていない」ことを客観的に示せるからです。

なお、スキャンした書類を保存するまでの「入力期間」には期限があります。おおむね速やか(おおよそ7営業日以内)、または業務サイクルを定めている場合はその業務サイクル後速やか(最長でおおよそ2か月+7営業日以内)が目安です。スキャンしたPDFを放置せず、早めに保存フォルダへ入れておくことが大切です。

電子取引でタイムスタンプを不要にする条件

メールにPDFで届いた請求書や、Web上でダウンロードした領収書などの「電子取引データ」は、紙に印刷して保存するのではなく、電子データのまま保存することが義務化されています(2024年1月から本格運用)。

この電子取引データについては、真実性を確保するための措置として国税庁が次の4つを示しており、このいずれか一つを満たせば要件をクリアできます。

① タイムスタンプが付された後に授受する

送り手側で認定タイムスタンプが付与されたデータを受け取る。

② 授受後、速やかにタイムスタンプを付す

データを受け取ったあと、速やかに(または業務サイクル後速やかに)認定タイムスタンプを付与する。

③ 訂正・削除の履歴が残る(またはできない)システムで授受・保存する

操作ログ・バージョン履歴が自動で残るクラウド等で授受・保存する。

④ 事務処理規程を定めて運用する(無料で対応可能)

「訂正・削除の防止に関する事務処理規程」を社内で作成・備え付け、そのルールに沿って運用する。国税庁がサンプル様式を公開しており、追加コストなしで対応できます。

①②はどちらもタイムスタンプを使う方法ですが、③④はタイムスタンプなしで対応できます。とくに④の事務処理規程を用意すれば、タイムスタンプも専用システムも使わずに電子取引データの保存要件を満たせます。多くの中小企業にとって、まず検討すべき現実的な選択肢です。

タイムスタンプを付けるべきケースもある

もちろん、タイムスタンプにもメリットはあります。取引件数が多く「入力期間内に保存した」ことを1件ずつ管理するのが難しい場合や、取引先・監査対応で客観的な証明を重視したい場合には、認定タイムスタンプを利用する運用が安心です。

なお、電帳法で認められるのは総務大臣が認定した時刻認証業務(認定タイムスタンプ)です。導入する場合は、認定を受けたサービスかどうかを確認しましょう。自社の取引量・体制に合わせて、「規程で対応するか」「システムやタイムスタンプに投資するか」を選ぶとよいでしょう。

タイムスタンプの有無にかかわらず必要な「検索要件」

ここで見落とされがちなのが、タイムスタンプの有無とは別に、すべての保存データで「検索要件」を満たす必要があるという点です。

検索要件(3項目)

  1. 日付(取引年月日)
  2. 金額(取引金額)
  3. 取引先(取引先名称)

→ 保存した書類を「いつの」「いくらの」「どこの」取引かで探せるようにしておく必要があります。

法令上は、この3項目に加えて「日付・金額の範囲指定検索」と「2項目以上の組合せ検索」も求められます。ただし税務職員による質問検査権に基づく「ダウンロードの求め」に応じることができるようにしている場合、この2つは不要です(規則第2条第6項第5号)。

つまり求めに応じてデータを提出できる体制さえあれば、残るのは3項目での検索だけ。これは専用システムを使わなくてもファイル名に「日付・取引先・金額」を含めておけば満たせます。Windowsのエクスプローラーの検索でそのまま探せるためです。

検索要件を満たすファイル名の例

20260727_山田商事_55000_請求書.pdf

20260715_佐藤工業_132000_見積書.pdf

→「山田商事」「55000」「202607」で検索すれば該当ファイルがすぐ見つかる

つまり、タイムスタンプの問題をクリアしても、1件ずつ手作業でファイル名を付け直す手間は残ります。複合機でスキャンしたPDFは「scan001.pdf」のような名前のままなので、中身を開いて確認し、日付・取引先・金額を入力する作業が必要です。これが月に数十〜数百件となると、大きな負担になります。

検索要件のファイル名づけはAIで自動化できる

この「ファイル名を付ける手間」を解決するのがスキャンリーです。複合機のスキャン先フォルダを監視し、新しいPDFが追加されるとAIが中身を読み取り、「日付_取引先_金額_書類名」の形式で自動的にリネームします。

スキャンリーの処理フロー

1

複合機でスキャンすると、指定フォルダにPDFが保存される

2

スキャンリーがフォルダを監視し、新しいPDFを自動検知

3

AIがPDFの内容を読み取り、書類の種類・日付・取引先・金額を判別

4

電帳法の検索要件を満たすファイル名に自動リネーム

スキャンリーはファイル名づけ(検索要件への対応)を自動化するツールです。タイムスタンプの付与そのものを行うわけではありませんが、上で紹介した「訂正・削除の履歴が残るクラウドに保存する」「事務処理規程で運用する」といった真実性の対応と組み合わせることで、電帳法対応の作業負担を大きく減らせます。

まとめ

「タイムスタンプにお金をかけるべきか」で迷う前に、まずは自社の運用に合った真実性の担保方法を選び、検索要件はファイル名で無理なく満たす——これが中小企業にとって最もコストを抑えた電帳法対応です。

20回まで無料でお試しいただけます

スキャンリーは、ダウンロードしてすぐに使えます。インストール不要、クレジットカード不要。

関連記事